水産物の消費拡大について その1 「新鮮 なっ!とくしま号」編

「水産物の消費拡大」は,単価アップひいては漁業収入アップにつなげる取り組みとして重要であり,いろいろな主体がそれぞれ工夫を凝らして実施しています。とくしま漁業アカデミーのカリキュラムにも組み込まれ,何回かにわけて講義や実習を行う予定で,このブログにもいくつかピックアップして載せていこうかと考えています。

今回は,水産物をはじめとした県産一次産品の消費拡大について,徳島県が行っている取り組みを,県もうかるブランド推進課の職員の方から学びました。

研修で用いた資料の一部です。右下の団扇に描かれているのは「阿波ふうど」のロゴマーク。「阿波ふうど」とは,全国に向け「徳島の食」の魅力や価値を伝えるブランドネームで,「阿波ふうど = AWA FOOD = 徳島(阿波)の風土に育まれた食が幸せをもたらす」ということを表現しています。「阿波ふうど」のfacebookはこちら

まずは,取り組みの概要についての講義を受け,,,,

続いて,徳島の一次産品の魅力をPRする移動ブランドショップ「新鮮 なっ!とくしま」号を見学しました。

「新鮮 なっ!とくしま」号は,料理実演や試食品調理を行うためのキッチンスペース,イベントアトラクションを行うためのAV設備・ステージも備えています。その多機能さに感心するとともに,「新鮮 なっ!とくしま」号を活用した水産物PRの方法や,「うまいのに安い魚種は,なぜ安いのか」「魚料理についての蘊蓄合戦」などの意見交換が行われました。

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この研修に先立ち,研修生に対し,「新たな消費拡大のための方策」を考える「頭の体操」を行いました。そこで出されたもののうち,面白そうなものを2つ載せてみます。
  • 「アラ(ごみ)」が魚介類消費のネックになっていることから,「できるだけアラがでない料理方法を学ぶ料理教室の開催」
  • 「焼カキ」「貝の浜焼き」がブームになっていることから,「家庭でも浜焼きが楽しめる『煙・匂いが出にくい七輪』の開発」



6回目の現場実習

6回目の現場実習は,7月3日から7日にかけて,美波町阿部(あぶ)で,海士漁業の実習を行いました。とはいうものの,海士漁業は,素潜りでアワビ類をとる漁業であり,全くの未経験者がいきなり行うのは危険が伴うので,本格的な実習ではなく,簡易な内容で実施しました。
阿部漁協の皆様,ありがとうございました。

高級品アワビは,口にすることはもちろん,お目にかかることもめったにないものですが,阿部に行ったらいきなりこんな感じで,研修生のテンションも上がり気味です。

そんなためか,初日の漁協事業概要の説明の時から,いろんなことに興味津々でした。

海士漁業の実習は,このように,背が立つ範囲で行いました。


そんなところでも,いきなりアワビをとった研修生も。
【ご注意】今回はとくしま漁業アカデミーの研修の一環としてアワビを採捕しましたが,県下の沿岸海域の大部分では,アワビ,サザエなどは漁業権の対象となっており,漁業者以外の方は,これら漁業権の対象となっている水産動植物をとることはできません。詳しくはこちらをご参照ください。

現役の海士の方々の荷受け見学。「え,こんなに」というほどアワビが水揚げされていました。

遠隔地に出荷する場合は,このような「ぶくぶく付きのスチロール箱」も用いられます。



5回目の現場実習 その3 小型定置網漁業及び魚類養殖業編

椿泊での実習,つぎは「小型定置網漁業」と「魚類養殖業」です。

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まずは「小型定置網漁業」。
期間中,小型定置網実習は2回行ったのですが,2回とも雨。しかし漁業の場合は,操業の可否を決めるのは,雨よりも風や波の場合が多いのです。というわけで,雨に打たれながらの実習となりました。


海底にあらかじめセットし,魚の「壁に当たると壁沿いに進む」「狭い入口から広い場所に入った場合は,なかなか外に出ることはできない」などの習性を利用して漁獲する「小型定置網」ですが,水揚げの際は,一番端っこの魚が「溜まる」部分である「(通称)ツボ」のみを引き揚げます。

雨に打たれながらの引き揚げ作業。

ぱっち網と同様に,ツボの一番最後の部分を船に固定し,,,,

網で魚を掬い揚げ,,,,

船倉に入れます。
この日はアジが中心でしたが,時期と場所により,メジロ(小型のブリのことです)やイシダイも漁獲されます。

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次いで「魚類養殖業」です。
この漁業は,まとまった量を一度に出荷できるところがポイント。マダイの出荷作業などの実習を行いました。


椿泊漁協の皆様,大変お世話になりました。


5回目の現場実習 その2 ぱっち網漁業編

椿泊での現場実習の2漁業種類めは,ちりめんじゃこの原料である「いわししらす(カタクチイワシ,マイワシなどの稚魚)」を漁獲する「ぱっち網」です。
「ぱっち網」は,小型漁業の多い徳島県では,比較的規模の大きな漁業で,「ジャッカー」と呼ばれる魚群探索兼漁獲物運搬船1隻と,「網船」と呼ばれる網を曳く船2隻の,計3隻が1船団となり漁を行います。
まずジャッカーが魚群を探索し,魚群を見つけたら,網船が網を曳いて漁獲する。 → 漁獲したいわししらすは,鮮度保持のため,ジャッカーに積み込み,ジャッカーが陸まで運搬して陸揚げ(場合によっては加工場へ搬入)する。 → その間,魚群がまだ残っていたら網船が漁獲する。 と,このような繰り返しが行われます。

ジャッカーから見た網船。2隻の網船で1つの網を曳いています(写真奥の方に網があることになります)。

魚群がおおむね網の中に入ると,曳網を終了し,2隻の網船は接舷します(これで網の口はほぼ閉じられることになります)。

しらすは,網の一番奥の部分(「魚採り」などとも呼ばれます)にたまっているので,それをジャッカーに引き寄せます。

網から魚採り部分をとりはずし,その中のいわししらすを船に取り込む準備。

魚採り部分の中のいわししらすを,たま網で掬います。水色の網は,この「たま」の網の部分です。実はこの網は非常に長くて,,,,

掬い終えたら,たま網の柄(口)を機械で上に持ち上げることで,かたくちしらすは長い網の中を通過していって,写真左の船倉部分に収納されます。

鮮度保持のために氷を入れます。準備ができたら,ジャッカーは港に戻ります。

陸揚げにはフィッシュポンプを利用します。

この実習期間中から7月中旬にかけて,徳島県紀伊水道海域では,しらすが大漁でした。お世話になった漁業者さんは,自らしらすの加工も行っているのですが,加工場もフル稼働でした。

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※ たまたまほぼ同じ時期に同じ漁業者さんが出荷した「ちりめん」を,阿波ふうどスペシャリストの方が酢の物にして食べておられたようです(実習の時に漁獲したものかどうかは不明ですが)。こちらをご覧ください。



5回目の現場実習 その1 小型底びき網漁業編

5回目の現場実習は,6月26日から30日にかけて,阿南市の椿泊漁協で行われました。椿泊地区は,県内でもトップクラスの水揚げを誇り,多くの種類の漁業が営まれています。
当初は,小型底びき網漁業実習は予定していなかったのですが,研修1日目の夜に椿泊漁協の組合長はじめ漁業者のみなさんと意見交換をしているうちに,小型底びき網漁に同行させていただけることになりました。

小型底びき網の操業は,大きく分けて,「早朝出港→夕方帰港」の「昼びき」と,「夕方出港→早朝帰港」の「夜びき」がありますが,今回は「夜びき」。この時期は,ハモをメインとして,多種多様な魚介類が漁獲されます。

長時間沖で操業する漁業なので,研修生はヘロヘロになって帰ってくるのではと心配していたのですが,全くそんなことはなく,元気に水揚げ作業を行っていました。

今回の漁獲の中心,ハモ。京都の祇園祭や大阪の天神祭の時期に食べられる魚で,多くは関西方面に出荷されます。徳島のハモは,京都市場や大阪市場において,大きなシェアを占めており,1位になる年もあります。最近は,首都圏や徳島県内での消費も増加してきています。


ハモ以外の魚も,このとおり。
漁港の荷捌き所で,選別作業を行いました。

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現在「徳島の活鱧料理味わいキャンペーン2017」を実施中です。皆様もこの機会に是非「徳島の活鱧」をご賞味ください。