令和5年11月の漁業アカデミー

     令和5年11

 11月に入り、急に寒くなりました。研修生は体調管理をしっかり行い、親方の指導の下、安全操業を常に心がけ引き続きインターンシップ研修に精力的に取り組んでいます。
 アカデミーでは、来期や今後の入学希望者の参考になるよう毎年オープンキャンパスを開催しており、今年度は今月実施しました(12月も開催予定です)。

〇とくしま漁業アカデミーオープンキャンパス(県南コース)

 アカデミー入学希望者など、本県での漁業就業に興味のある方を対象に、次のとおりオープンキャンパス(県南コース)を開催しました。なお、県北コース(和田島漁協)も予定しておりましたが、2回延期したものの、悪天候のため残念ながら中止となりました。

 開催日時 令和5年11月19日(日)6:00~8:45
 開催場所 海部郡海陽町 鞆浦漁協
 参加者  6名

 AM6時前より、鞆浦漁協河野組合長の案内で漁協事務所2階に移動し、模型を用いて大型定置網(現地名:大敷網)の説明を受けました。設置後の完成型は2段落とし網を陸側と沖側の2か所に設置するそうですが、漁期が今月始まったばかりであり、沖側の落とし網設置はこれからで、現在は陸側1か所を設置した状態との説明がありました。鞆浦大敷網は乗組員は本船13名、小型の中船(なかぶね)3名の計16名体制で漁を行っています。当日は荒天後の凪(なぎ)でしたが、荒天後は潮の流れが速い場合が多く、上り潮(西から東向きの潮の流れ)が強いと網持ち(漁獲作業)ができず、出戻りになる可能性も高いとの説明がありました(当日は陸からは判断できない状況だったようです。)。
 組合長の説明終了後、参加者は救命胴衣及びヘルメットを着用し、全員が本船に乗り込み6時過ぎに出港となりました。漁場は近く、港から5分程度で現場に到着しましたが、説明にあった通り、現場では上り潮が速く、目印(海面上に建てた竹)周辺の浮子が沈んでおり、網持ち不可能との判断で残念ながら出戻りとなりました。
 帰港後、組合長から漁港施設の説明を受けるとともに、小型定置網漁獲物(ヒラスズキやカンパチなど)の水揚げ作業や8:20からの入札を見学し、組合長にあいさつの後、解散となりました。
 当日は大敷網漁の見学・体験は残念ながらできませんでしたが、その他漁業の漁獲物や入札見学を実施することができました。組合長からは、再度別日程でオープンキャンパスを実施してはどうかとの話をいただき、2回目を12月10日(日)に実施することとなりました。

 最後に、快く対応いただいた河野組合長はじめ大敷網乗組員の方々、関係者の皆様にお礼申し上げます。

※鞆浦漁協に関係するHPがありますので、興味ある方はご参考下さい。
なお、鞆浦漁協の大敷網は一般の方でも体験漁業ができますので、興味ある方は是非ご体験下さい。



 組合長から漁船乗船前に模型を使って大敷網の説明をしていただきました。
 鞆浦漁協事務所にある大敷網の模型(写真右側が2段落とし網部分)
 大敷網の本船轟丸、通称「虹マンボウ」に乗り組みました。
 出港です。夜が明けてきました。先に中船が出港しています(写真中央上)。
 大敷網の漁場に到着しましたが、目印の竹周辺の浮子(あば)が上り潮で水面下に沈んでおり、天候は快晴で波もありませんでしたが、残念ながら網持ち不可の判断となりました。
 帰港後、水揚げに使用する施設の説明をしていただきました。
 水揚げされたヒラスズキ。この日は90kg近く漁獲されたようです。
 シオ(小形カンパチ)の水揚げもありました。
 珍しいカライワシ(40cm程度)です。徳島県立博物館にサンプルとして引き取られていきました。
 入札の様子です。当日はヒラスズキ、シオのほかグレ(メジナ)、小アジやアオリイカがありました。


〇とくしま漁業アカデミー第7期研修生 研修情報①

 取材日 令和5年11月21日(火)AM
 場 所 海部郡美波町 由岐漁港

 10月から、専攻コース3名はそれぞれ室撫佐漁協、和田島漁協及び由岐漁協で、一般コース3名はそれぞれ北灘漁協、椿泊漁協及び伊座利漁協で実践的な研修に鋭意取り組んでいます。

 今回、由岐漁協で親元就業を予定している、7期生で最も若い専攻コースT研修生に話を聞きました。T研修生は父親が親方となり、春にはヒジキ漁、夏には延縄・素潜り漁、秋から冬は延縄、小型定置網、磯建網を行うなど、幅広い漁業種類を独立に向け日々研修中で、地元期待の若手後継者です。
 現在、イセエビ網(磯建網)、イカ網(小型定置網)漁をメインに行っており、今朝はイカ網を揚げに行き、アオリイカを10数杯水揚げしたとのことです。イセエビ漁は徳島県規則で5/15~9/15までが禁止期間と定められており、由岐地区では今年は10月に入ってから解禁となっています。当日のイセエビ網は凪で出漁可能となり、船外機に網を積み込んで網入れの準備をし、昼から祖父、父と3人で網入れをする予定とのことでした。この日は上弦の月の翌日、旧暦10月9日で、満月周りに漁獲の多いイカ網と、新月廻りに操業するイセエビ網を同時に行う日でした。
 T研修生は病気やけがもなく元気に研修中とのことで、最後に改めて安全操業で研修を実施するよう伝えました。

関連記事など
2023年5月23日

 T研修生と由岐漁港に停泊中の操業に使用している漁船です。波の穏やかな日は、大きな船(写真中)より小回りの利く船外機船(写真左)を主に使用するとのことです。
 イセエビ網漁に使用する船外機船と積み込まれた漁具など。普段は2、3人が乗り組み網入れするそうです。
 資源保護のため、使用数量や操業時期などが地区ごとに決められています。
 イセエビ刺網の模式図です。イセエビの潜む岩場に午後に仕掛け、夜中に引き揚げます。
 イセエビ幼生の回遊イメージ図です。イセエビは幼生期(プランクトン期)の生活史に謎が多く、ペラペラのフィロゾーマ幼生は漂うクラゲに乗っかったりして300日間ほど回遊するとの話もありますが、いまだに全容は解明されていないようです。2017年8月に始まった過去最長の黒潮大蛇行の影響で本県への幼生の来遊に影響がなければよいのですが・・・
 由岐漁協の事務所です。
 由岐漁協事務所横の荷捌施設の水槽に、水揚げされたばかりのアオリイカが泳いでいました。大きいもので1kg超ありました。
 美波町など県南地区でよく使われているアオリイカ狙いのイカ網(小型定置網)です。
 アオリイカの一生を描いた模式図です。徳島県では、この時期は黄色部分の「著しく早く成長」する時期でいわゆる”旬”となり、大量に餌を食べて急激に成長し、肉厚で身が柔らかく甘いのが特徴です。
 今年度から美波町日和佐町漁協を中心に「徳島のアオリイカを守る会」を結成し、資源保護のため釣り人などに対して胴長15cm以下の小さなアオリイカ(稚仔期)を捕らないようお願いしています。
 この日は高気圧に覆われ風もなく、小春日和の晴天べた凪でした(田井の浜から太平洋を望む)。


〇ふぐ処理師免許に係る講習会

 実施日 令和5年11月29日(水)13:30~16:00
 場 所 徳島市万代町 徳島グランヴィリオホテル
 主 催 一般社団法人徳島県食品衛生協会

 とくしま漁業アカデミーでは、限られた水産資源や低利用資源に付加価値を付け、有効活用する目的で六次産業化も推進しているところであり、ふぐ処理に関する講習受講や処理師資格の取得を推奨しています。
 今年度は、研修生1名及び事務局が徳島県ふぐの処理等に関する条例に基づく「ふぐ処理師免許に係る講習会」を受講し、ふぐ処理師試験を受験することになりました。なお、徳島県のふぐ処理師を受験するにあたり、条例により当該講習会の受講が条件となっています。
 講習会では、食品衛生に係る一般知識、ふぐに関する一般知識、徳島県ふぐの処理等に関する条例及びふぐの安全な取扱いとふぐの種類について学びました。講習内容は、ふぐ処理師を受験しなくとも、漁業全般に役立つ内容となっておりました。令和5年度のふぐ処理師試験は、翌年2月頃実施予定とのことでした。
 講習会で用いられたテキスト類
 受講案内と講習修了証





第8回徳島マリンサイエンスシンポジウムに参加しました。

   令和5年11

 今月は研修の一環として、四国大学で開催された「マリンサイエンスシンポジウム」に参加し、漁業や水産業に関する知見を深めました。

〇第8回徳島マリンサイエンスシンポジウム(11/18)

 場 所:四国大学 共通講義棟1F大講義室(徳島市応神町)
 日 時:令和5年11月18日(土)10~12時

 徳島県(徳島科学技術高校)、徳島大学、徳島文理大学、四国大学及び阿南工業高専は、「徳島県水産業の成長産業化及び関連産業の振興に関する協定」に基づき、相互連携による人材育成や研究開発を推進する「マリンサイエンスゾーン」を構成しており、毎年、研究成果をシンポジウムにて紹介しています。
 今回は「持続可能な水産業を実現するための新技術と戦略」をテーマとして、マリンサイエンスゾーン※における取組みについて、口頭発表及びパネル展示が行われ、事務局及び研修生やアカデミー卒業生も可能な限り参加しました。
※マリンサイエンスゾーン:徳島県の水産業の成長産業化及び関連産業の振興を図るため、産学官が連携し人材育成と研究開発を進め、新たなイノベーションを創出する水産・海洋分野の知と技の集積拠点

 プログラムは次のとおりで、漁業に役立つ内容や、本県水産業にとって興味深い取り組みについて発表が行われ、参加者は熱心に聴講し、活発な質疑応答がなされました。

・資源管理対象魚種の拡大と本県重要魚種の資源動向について(徳島県水産研究課 木本研究員)
・陸上養殖あおさのりの効率生産と出口戦略(徳島文理大学薬学部 山本教授)
・ブルーカーボンとしての藻場の評価に関する国内動向及び徳島県の取り組み(徳島県水産研究課 小倉主任研究員)
・紅藻タオヤギソウの陸上養殖に向けて(徳島大学 岡准教授)
・機械学習を用いた漁況予測システムの提案(阿南工業高等専門学校 後藤技術補佐員) 
・シラス加工とポリアミン量の変化(四国大学短期大学部 西堀教授)
・シュモクザメの有効利用について(徳島科学技術高校 海洋科学コース2年生)
 シンポジウムポスター
 徳島文理大山本教授による発表
 県水産研究課小倉主任研究員による発表
 阿南高専後藤技術補佐員による発表
 徳島科学技術高校海洋科学コース2年生の皆さんによる発表
 質疑応答も活発に行われました(写真はアカデミー研修生による質問風景)





 漁業に役立つ取り組みのポスター展示も数多くありました。