令和5年12月の漁業アカデミー

     令和5年12

 12月に入りました。研修生は親方の指導の下、安全操業を常に心がけ、大きなトラブルもなく引き続きインターンシップ研修に精力的に取り組んでいます。
 アカデミーでは、来期や今後の入学希望者の参考になるよう毎年オープンキャンパスを開催しており、先月に引き続き実施しました。また、インターンシップ中の研修生から研修内容等について取材しました。


〇とくしま漁業アカデミー第7期研修生 研修情報 ②

 取材日 令和5年12月6日(水)AM
 場 所 徳島市東沖州 水産会館前

 10月から、専攻コース3名はそれぞれ室撫佐漁協、和田島漁協及び由岐漁協で、一般コース3名はそれぞれ北灘漁協、椿泊漁協及び伊座利漁協で実践的な研修に鋭意取り組んでいます。

 今回、鳴門市室撫佐漁協で魚類養殖業及びワカメ養殖業を営む親方の下、日々研修に励んでいる専攻コースD研修生に話を聞きました。
 とくしま漁業アカデミー事務局が入る「徳島県水産会館」の道を挟んで向かいには、川の駅「徳島新鮮なっとく市」があり、レストラン、直売所のほか、ファミリー釣り堀「釣ってみんでフィッシング」があります。D研修生は研修先で養殖された活マダイを定期的に当該釣り堀に配達しているとのことで、今回配達の状況を見学し、話をさせていただきました。
 令和3年3月に水産会館近くに徳島南部自動車道徳島沖州ICが供用開始となり、作業を行っている撫佐漁港から、トラックで30分足らずで到着することが出来るようになり、大変便利になったとのことでした。通常は週末に向け週1回程度の搬入だそうですが、この日は昼に台湾からのチャーター便の団体客が入っているとのことで、この日は1.3kg程度サイズを100尾追加搬入だったそうです。この日の現場の養殖漁場水温が19℃程度、釣り堀が18℃だったため、現場到着後特段水温調節の必要が特段無いそうで、10分足らずで搬入作業は終了し、入れられたマダイは先に入っていた魚とすぐに混泳していました。釣り堀にはマダイの他、ヒラメ等多様な魚種が入っており、イセエビやタカアシガニなどが入っている時もあるとのことでした。D研修生は日々早朝から水揚げ、締め作業、加工、選別、配達、給餌作業などを行い、特にこれから年末に向けかなり忙しくなるとのことでした。
 忙しい中対応いただいたD研修生にお礼をし、睡眠を十分にとり健康に留意し研修に励んでいただくよう伝えました。


水産会館向かいにあるファミリー釣り堀「釣ってみんでフィッシング」
中四国最大級の屋内釣り堀水槽
トラックに積んだ活魚槽から活マダイをおろす。
活マダイを
釣り堀に丁寧に搬入するD研修生



〇とくしま漁業アカデミーオープンキャンパス(県南コース、再実施)

 アカデミー入学希望者など、本県での漁業就業に興味のある方を対象に、次のとおりオープンキャンパス(県南コース、2回目)を開催しました。なお、11月19日に開催した1回目は海況状況により網揚げを実施できなかったため、再度実施しました。

 開催日時 令和5年12月10日(日)6:00~10:30  開催場所 鞆浦漁協  参加者  4名  当日工程 集合→出漁→現場到着→網揚げ・漁獲(2か所)→帰港→水揚げ→選別→入札  参加者はヘルメット、救命胴衣を着用し、AM6時前に本船(虹マンボウ)に乗り組み漁場に向かいました。この日はアカデミーオープンキャンパスのほか、徳島県立博物館関係者も同乗していました。組合長の話では、この日も網持ちできるか確定的なことは言えないとの話でしたが、先に現場に到着していた中船(なかぶね)からの無線や乗組員の意見で、この日は無事網持ち可能との判断となりました。鞆浦大敷網では、乗組員は本船13名、小型の中船(なかぶね)3名の計16名体制で漁を行っています。  出港から5分程度で到着した現場では、2か所設置されている網の沖側に設置された方から網揚げを行いました。1段目の落とし網の途中辺りから、入網した魚が逃げないよう船を徐々に2段目の奥方向(西側)へ本船を移動させながら網を徐々に揚げていき、参加者も途中から網揚げ体験をさせていただきました。最後に反対側で構えていた中船の左舷と本船右舷が向かい合うように接近し、網を絞って漁獲物をマリンクレーンを使った大形のたも網で掬い、船の氷を大量に入れた魚槽に搬入しました。陸側の網も同様に網揚げし、漁獲を行いました。獲物は小アジ類が主体で大物はあまり見られませんでしたが、アオリイカが10数杯漁獲され、参加者全員がハンマーによる活〆作業体験も実施しました。また、乗組員が漁獲物の中からこの時期最もおいしいとされる「スマ」(地元名:エッパ、ヤイト)を捌いて刺身にしていただき、船上で参加者にふるまっていただきました。参加者は普段口にすることのない鮮度の刺身の美味しさに感動していました。
 出港から約2時間後の8時に帰港となり、漁獲物はすぐさま陸揚げされ、参加者は乗組員や漁協職員が総出で行う選別作業の体験や見学を行いました。この日の大敷網での漁獲量は3トン程度とそこそこの漁獲量でしたが、話では単価の高い魚種は少なかったようです。最後に入札まで見学させていただき、各自現地解散となりました。
 この日は一連の漁体験が実施でき、トラブルやケガもなく無事オープンキャンパスを終えることができました。この場をお借りし、親切に対応いただいた鞆浦漁協組合長、乗組員の皆様ほか関係者に心よりお礼申し上げます。

※鞆浦漁協に関係するHPがありますので、こちらもご覧下さい。
※鞆浦漁協大敷網は一般の方でも体験漁業ができますので、興味ある方は是非ご体験下さい!



 まだ真っ暗な夜明け前の6時に本船に乗り込み、出港しました。
 出港後、本船と中船(先に漁場に到着)と無線で連絡を取り合い、漁実施(網揚げ)の可否を決定します。この日は潮が穏やかで網揚げ可能と判断されました。
 機械を使用し、網を効率的に手繰り寄せます。ある程度寄せた段階で参加者も網揚げ体験をさせていただきました。
 獲物が掬える状態まで網を寄せたら、先に大きな魚(マグロ、ブリやカンパチなど)を漁獲します。
 その他アジなどの小さな獲物は、マリンクレーンを使って大きなタモ網で船内の魚槽へ水揚げします。
 アオリイカはその場で締めて水揚げするため、乗組員にハンマー締めを教わり、参加者も全員体験させていただきました。
 この時期地元でとても人気のあるカツオの仲間「スマ」(現地名:エッパ)を試食させていただきました。脂ののりが抜群でした。
 漁場で網持ちを2か所行い、帰港。港到着後、すぐさま陸揚げを行いました。
 陸揚げされた漁獲物は、専用のベルトコンベアに乗せ、すぐさま魚種やサイズ別に選別が行われます。参加者も邪魔にならないよう体験させていただきました。
 大敷網で漁獲され選別された漁獲物。多種多様な魚介類が水揚げされましたが、この日は大型魚は少なく、マアジやメアジが多く水揚げされました。
 大敷網のほか、赤物延縄漁で漁獲されたアカムツの水揚げも行われていました。
 最後に入札を見学し、現地解散となりました。


〇とくしま漁業アカデミー第7期研修生 研修情報③

 取材日 令和5年12月22日(金)AM
 場 所 海部郡美波町 伊座利漁港

 10月から、専攻コース3名はそれぞれ室撫佐漁協、和田島漁協及び由岐漁協で、一般コース3名はそれぞれ北灘漁協、椿泊漁協及び伊座利漁協で実践的な研修に鋭意取り組んでいます。

 今回、美波町伊座利漁協で大敷網(大型定置網)やイセエビ刺網(磯建網)を行っている親方の下で研修中のG研修生について、作業風景を見学させていただきました。
 この時期は漁模様によりますが、大敷網は毎朝6時半に出港し、現場で網揚げ作業を行い、8時半頃に港で水揚げし、選別・出荷作業等を行っているとのことでした。当日は作業船帰港前の8時過ぎに現場に到着し、8時半に漁船が漁場から戻ってきました。この日は最近多く漁獲されるコアジのほか、中形のイサキが500kg以上入網し、水揚げ・計量作業に時間がかかったようですが、多い日には1トン以上入ることもあるとの話でした。その他カワハギ、ハマチ、ヨコスジフエダイ、アオリイカなど多種多様な魚介類が水揚げされていました。
 G研修生は病気やけがもなく元気に研修中のようで、引き続き健康に留意し安全操業で研修を実施するよう伝えました。また、取材に協力いただいた伊座利漁協関係者の皆様にお礼申し上げます。
 
※伊座利に関係するHPがありますので、こちらもご覧下さい。


伊座利峠から集落方面に向かって太平洋を望む。
漁場から8時半頃伊座利漁港に帰港した大敷網作業船「弘伸丸」
すぐさま陸揚げ作業をが行われます。写真真ん中は玉掛け作業中のG研修生です。
この日は中形のイサキが500kg以上水揚げされました。
陸揚げされ一旦水槽に入れられた活きのいいイサキ
作業中のG研修生です。イサキは活きたまま計量し、活魚車で出荷されました。
コアジ(小さいマアジ)も多く水揚げされていました。
漁獲物の選別風景。丁寧に選別することで、水揚額の向上につながります。
伊座利の大敷網では漁期(10月20日~6月30日)を通じ、多種多様な魚介類が漁獲されます。

令和5年11月の漁業アカデミー

     令和5年11

 11月に入り、急に寒くなりました。研修生は体調管理をしっかり行い、親方の指導の下、安全操業を常に心がけ引き続きインターンシップ研修に精力的に取り組んでいます。
 アカデミーでは、来期や今後の入学希望者の参考になるよう毎年オープンキャンパスを開催しており、今年度は今月実施しました(12月も開催予定です)。

〇とくしま漁業アカデミーオープンキャンパス(県南コース)

 アカデミー入学希望者など、本県での漁業就業に興味のある方を対象に、次のとおりオープンキャンパス(県南コース)を開催しました。なお、県北コース(和田島漁協)も予定しておりましたが、2回延期したものの、悪天候のため残念ながら中止となりました。

 開催日時 令和5年11月19日(日)6:00~8:45
 開催場所 海部郡海陽町 鞆浦漁協
 参加者  6名

 AM6時前より、鞆浦漁協河野組合長の案内で漁協事務所2階に移動し、模型を用いて大型定置網(現地名:大敷網)の説明を受けました。設置後の完成型は2段落とし網を陸側と沖側の2か所に設置するそうですが、漁期が今月始まったばかりであり、沖側の落とし網設置はこれからで、現在は陸側1か所を設置した状態との説明がありました。鞆浦大敷網は乗組員は本船13名、小型の中船(なかぶね)3名の計16名体制で漁を行っています。当日は荒天後の凪(なぎ)でしたが、荒天後は潮の流れが速い場合が多く、上り潮(西から東向きの潮の流れ)が強いと網持ち(漁獲作業)ができず、出戻りになる可能性も高いとの説明がありました(当日は陸からは判断できない状況だったようです。)。
 組合長の説明終了後、参加者は救命胴衣及びヘルメットを着用し、全員が本船に乗り込み6時過ぎに出港となりました。漁場は近く、港から5分程度で現場に到着しましたが、説明にあった通り、現場では上り潮が速く、目印(海面上に建てた竹)周辺の浮子が沈んでおり、網持ち不可能との判断で残念ながら出戻りとなりました。
 帰港後、組合長から漁港施設の説明を受けるとともに、小型定置網漁獲物(ヒラスズキやカンパチなど)の水揚げ作業や8:20からの入札を見学し、組合長にあいさつの後、解散となりました。
 当日は大敷網漁の見学・体験は残念ながらできませんでしたが、その他漁業の漁獲物や入札見学を実施することができました。組合長からは、再度別日程でオープンキャンパスを実施してはどうかとの話をいただき、2回目を12月10日(日)に実施することとなりました。

 最後に、快く対応いただいた河野組合長はじめ大敷網乗組員の方々、関係者の皆様にお礼申し上げます。

※鞆浦漁協に関係するHPがありますので、興味ある方はご参考下さい。
なお、鞆浦漁協の大敷網は一般の方でも体験漁業ができますので、興味ある方は是非ご体験下さい。



 組合長から漁船乗船前に模型を使って大敷網の説明をしていただきました。
 鞆浦漁協事務所にある大敷網の模型(写真右側が2段落とし網部分)
 大敷網の本船轟丸、通称「虹マンボウ」に乗り組みました。
 出港です。夜が明けてきました。先に中船が出港しています(写真中央上)。
 大敷網の漁場に到着しましたが、目印の竹周辺の浮子(あば)が上り潮で水面下に沈んでおり、天候は快晴で波もありませんでしたが、残念ながら網持ち不可の判断となりました。
 帰港後、水揚げに使用する施設の説明をしていただきました。
 水揚げされたヒラスズキ。この日は90kg近く漁獲されたようです。
 シオ(小形カンパチ)の水揚げもありました。
 珍しいカライワシ(40cm程度)です。徳島県立博物館にサンプルとして引き取られていきました。
 入札の様子です。当日はヒラスズキ、シオのほかグレ(メジナ)、小アジやアオリイカがありました。


〇とくしま漁業アカデミー第7期研修生 研修情報①

 取材日 令和5年11月21日(火)AM
 場 所 海部郡美波町 由岐漁港

 10月から、専攻コース3名はそれぞれ室撫佐漁協、和田島漁協及び由岐漁協で、一般コース3名はそれぞれ北灘漁協、椿泊漁協及び伊座利漁協で実践的な研修に鋭意取り組んでいます。

 今回、由岐漁協で親元就業を予定している、7期生で最も若い専攻コースT研修生に話を聞きました。T研修生は父親が親方となり、春にはヒジキ漁、夏には延縄・素潜り漁、秋から冬は延縄、小型定置網、磯建網を行うなど、幅広い漁業種類を独立に向け日々研修中で、地元期待の若手後継者です。
 現在、イセエビ網(磯建網)、イカ網(小型定置網)漁をメインに行っており、今朝はイカ網を揚げに行き、アオリイカを10数杯水揚げしたとのことです。イセエビ漁は徳島県規則で5/15~9/15までが禁止期間と定められており、由岐地区では今年は10月に入ってから解禁となっています。当日のイセエビ網は凪で出漁可能となり、船外機に網を積み込んで網入れの準備をし、昼から祖父、父と3人で網入れをする予定とのことでした。この日は上弦の月の翌日、旧暦10月9日で、満月周りに漁獲の多いイカ網と、新月廻りに操業するイセエビ網を同時に行う日でした。
 T研修生は病気やけがもなく元気に研修中とのことで、最後に改めて安全操業で研修を実施するよう伝えました。

関連記事など
2023年5月23日

 T研修生と由岐漁港に停泊中の操業に使用している漁船です。波の穏やかな日は、大きな船(写真中)より小回りの利く船外機船(写真左)を主に使用するとのことです。
 イセエビ網漁に使用する船外機船と積み込まれた漁具など。普段は2、3人が乗り組み網入れするそうです。
 資源保護のため、使用数量や操業時期などが地区ごとに決められています。
 イセエビ刺網の模式図です。イセエビの潜む岩場に午後に仕掛け、夜中に引き揚げます。
 イセエビ幼生の回遊イメージ図です。イセエビは幼生期(プランクトン期)の生活史に謎が多く、ペラペラのフィロゾーマ幼生は漂うクラゲに乗っかったりして300日間ほど回遊するとの話もありますが、いまだに全容は解明されていないようです。2017年8月に始まった過去最長の黒潮大蛇行の影響で本県への幼生の来遊に影響がなければよいのですが・・・
 由岐漁協の事務所です。
 由岐漁協事務所横の荷捌施設の水槽に、水揚げされたばかりのアオリイカが泳いでいました。大きいもので1kg超ありました。
 美波町など県南地区でよく使われているアオリイカ狙いのイカ網(小型定置網)です。
 アオリイカの一生を描いた模式図です。徳島県では、この時期は黄色部分の「著しく早く成長」する時期でいわゆる”旬”となり、大量に餌を食べて急激に成長し、肉厚で身が柔らかく甘いのが特徴です。
 今年度から美波町日和佐町漁協を中心に「徳島のアオリイカを守る会」を結成し、資源保護のため釣り人などに対して胴長15cm以下の小さなアオリイカ(稚仔期)を捕らないようお願いしています。
 この日は高気圧に覆われ風もなく、小春日和の晴天べた凪でした(田井の浜から太平洋を望む)。