令和5年3月の漁業アカデミー

 月日が経つの早いもので昨年の4月19日にとくしま漁業アカデミーに入学した5人が、卒業の月を迎えました。入学前オリエンテーション時には不安の方が先だっていたと思いますが、5人ともに立派な親方、諸先輩、お父様の指導のもと精神的、肉体的、技術的に一段と成長し、良い人間関係を構築しつつあると思います。

3/13@とくしま漁業アカデミー卒業式

 令和4年4月19日に入学した5名全員が令和5年3月13日にそろって卒業しました。当日は勢井専務理事から卒業証書を受け取った後、来賓の県漁連久米会長から励ましのお言葉を頂戴しました。卒業生を代表して岡本和晃さんがお礼の言葉を述べました。この1年間で、多くの漁協の方々の丁寧な指導と親方の実践的な厳しい指導のもとたくましく成長したと思います。

卒業証書授与
来賓の久米県漁連会長からの祝辞
卒業生の挨拶

令和4年度(第6期生)とくしま漁業アカデミー卒業式


令和5年2月の漁業アカデミー

  とくしま漁業アカデミーの研修生は極寒の海上で、シロアマダイ、サワラなどの延縄、ワカメ養殖などのほか、日和が悪い日は春の漁に備えて、漁船の手入れ、道具の製作、修繕などの仕込みに追われています。そのような中で2月はふぐ処理師の試験に初めてチャレンジしました。

2/9@フグ処理師試験

 とくしま漁業アカデミー6期生3名が2月9日に学科試験(水産食品の衛生に関する知識、フグに関する一般知識)と実技試験(フグ種類の鑑別、フグの処理技術及び有毒部位の鑑別)を受験し、2名が合格しました。アカデミーとして初めてのチャレンジでしたが、フグや水産び関する知識に加えて食品衛生、公衆衛生、調理学、栄養学など幅広く勉強をしました。また、トラフグの調理の実技試験ではフグの内臓や体の構造を理解し、薄造りまでの調理に挑みました。ここ数年、温暖化によりクロサバフグが大量に来遊し、漁業被害をもたらすことが多くなっています。少しでも被害を軽減するために被害防止技術の開発に加えて、フグを美味しく食べつ、適正な個体数を維持してやることが大切と思います。




実技試験の処理技術及び有毒部位の鑑別には各自1尾ずつトラフグが使われました。学科には食品衛生責任者の知識が役立ったそうです。

令和5年1月の漁業アカデミー

 とくしま漁業アカデミーでは限られた水産資源や未利用資源に付加価値を付け有効に利用する目的で6次産業化を推進しています。また、徳島県沿岸においても近年の高水温化傾向に伴い磯焼けの原因となるアイゴのほか漁業被害をもたらすクロサバフグが大量に来遊する頻度が増加しています。このため、研修生は従来から受講してきた食品衛生責任者講習に加えて今年度からフグ処理師講習を受講し、フグ処理師免許の取得にチャレンジしています。

1/10@フグ処理師講習会

 とくしま漁業アカデミー6期生3名が1月10日に徳島県食品衛生協会が主催する講習会を阿波銀ホールで受講しました。フグの取り扱いに関する法律と処理技術の習得だけでなく、食品衛生、公衆衛生、調理学、栄養学など幅広い内容を学びました


受講風景

1/25@食品衛生責任者講習会

 とくしま漁業アカデミーでは研修生が浜で6次産業化を推進できるように毎年冬期に食品衛生責任者講習会を受講し、衛生法規、公衆衛生学、食品衛生学を学んでいます。今年は研修生4名が125日の美波町会場と2月14日の徳島市会場で受講し、4名が終了証明書をもらいました。フグ調理試験同様将来の浜での6次産業化の推進に役立ていきます。


受講テキストとコンテンツ

1/29@徳島の漁業応援隊養成コース(浜っ娘)

 今回の浜っ娘は1月28()に日和佐町漁協にお世話になり、当日は大浜海岸に仕掛けられたアオリイカを専門に狙うに小型定置網の一種である角網の漁獲体験を行うとともに水産研究課6次産業化研究室において水産振興課技師の講師による水揚げされたアオリイカと冷凍されたイカの調理体験を行いました。参加された5名は日頃食べることができない透明感のあるアオリイカの刺身を食べることができ、漁業の魅力を体感しました。日和佐町漁協の皆様に心よりお礼申し上げます。

アオリイカを対象とした小型定置網(角網)
1網で漁獲されたアオリイカ
講師の指導の下でアオリイカの調理
アオリイカの刺身とゲソの煮つけを堪能する参加者


令和4年12月の漁業アカデミー

 とくしま漁業アカデミーでは徳島県企業版ふるさと納税活用事業によりアカデミー入学希望者や漁業就業に興味がある方を対象に県北と県南でオープンキャンパスを実施しています。第Ⅱ回は鞆浦漁協の協力により大型定置網(大式網)の実習を実施しました。内容は下記のとおりです。

12/11@オープンキャンパスⅡ鞆浦漁協大型定置網

 令和4年12月11日(日)に鞆浦漁業協同組合のご指導のもととくしま漁業アカデミーオープンキャンパスⅡを大型定置網(大式網)で開催しました。アカデミーに入学を希望される方4名が(県外3人、県内1人)が参加しました。当日は4:00に水産会館を出発し、6時前に鞆浦漁協に到着しました。最初に漁協2Fで河野亮平組合長より大式網の模型を使って構造を教えていただいた後、薄明時に大式網水揚げ船「虹マンボウ号」に乗船し出港しました。まず、大里海岸沖水深50mに敷設された沖の魚捕りでカツオ類、カマスザワラ、シイラ、シュモクザメなどを水揚げし、その後水深40mに敷設された魚捕りでバショウカジキ、カンパチ、ウスバハギなどを水揚げしました。その日は黒潮系水による暖水の流入により水温が20.2℃もあり、沖合の魚が多く来遊していたようです。魚捕りを絞っていくと魚が飛び跳ね、その水しぶきの中で水揚げする様子は本当に勇壮です。参加者(青いヘルメット)も少しだけ網揚げを体験させていただきました。ベテランの先輩職員に混じってアカデミー3期生の山本勇毅さんがボールローラーを巧に使って網揚げ、バショウカジキの下処理など機敏に動く姿がとても印象的でした。網揚げ終了後に、獲れたばかりでないと味わうことができないもちもちのヒラソウダ(スマ)の刺身を船上でいただきました。その後、水揚げと選別を見学させていただいた後、オープンキャンパスを終了しました。当日は天候も良好で波もなかったので船酔いする参加者はいませんでした。どの参加者も漁獲量の多さに驚いていました。オープンキャンパスの開催に当たってご尽力いただいた河野組合長をはじめ大式組合の皆様に深謝します。

河野組合長による大式網の模型を使った構造の説明
              大式網の模型,右端が魚捕り
            網揚げ船「虹マンボウ号」に乗船して出向
            網揚げ風景、青いヘルメットガ参加者
                   網揚げ風景
    入網したバショウカジキの鰓・内臓除去を行うアカデミー卒業生の山本勇毅さん
              水揚げされた、カマスザワラ
                ソウダガツオの調理
            皮下脂肪のあるソウダガツオの刺身
                   水揚げ風景


令和4年11月の漁業アカデミー

 11月

 紀伊水道ではアシアカエビ、海部沿岸ではアオリイカが獲れだし、本格的な秋・冬の漁模様に変わってきました。とくしま漁業アカデミーでは徳島県企業版ふるさと納税活用事業によりアカデミー入学希望者や漁業就業に興味がある方を対象に県北と県南でオープンキャンパスを実施しています。第Ⅰ回は徳島市漁協の協力により小型底曳網の実習を実施しました。内容は下記のとおりです。

11/19@オープンキャンパスⅠ徳島市漁協底曳網

 徳島市漁業協同組合の林勉組合長と林拓馬さんのご指導のもととくしま漁業アカデミーオープンキャンパスを小型底びき網漁船(元気丸)で実施しました。当日はアカデミーに入学を希望される方3名が(県外2人、県内1人)が参加しました。お二方から底曳網の仕組み、計器・機器の使い方を教えてもらいながら、徳島港沖水深30mでアシアカエビ狙いで石桁網を2回曳網しました。2回の操業でアシアカエビが100尾、シラサエビが30尾、アカシタビラメが10枚程度漁獲されました。今年のアシアカエビはまずまずの漁が期待できそうです。参加者は船上で水揚げされた漁獲物の選別作業を行った後、生きたアシアカエビとシラサエビを食べ比べさせていただき喜んでいました。シラサエビの方が微妙に甘いと感じました。当日は天候も良好で波もなかったので船酔いする人はいませんでした。オープンキャンパスの開催に当たってご尽力いただいた林組合長をはじめ徳島市漁業協同組合の皆様に深謝します。

石桁網の投入
漁業者によるネットローラーの説明
石桁網の取込み
袋網の開口
アシアカエビとシラサエビの食べ比べ
漁獲物の選別作業
アカシタビラメ
ウシエビ(ブラックタイガー)































令和4年10月の漁業アカデミー

 10月 

 5~9月の前期進路選択オリエンテーションが終わり、10~3月の間、研修生は各浜の親方に付いて学ぶより実践的な後期インターンシップが始まりました。今年の研修生5名のうち4名が育った地域で父親に付き、1名が所縁のない地域で親方について学び始めました。漁業種類別にみると延縄が2名(椿泊)、イセエビ刺網、海士(日和佐)が1名、船曳網が2名(長原)となっています。

 延縄は春から夏のハモ,タチウオを中心に、秋から冬にはサワラ、アマダイ、キハダマグロなどに採算性の高い漁法にスイッチしていきます。対象魚に応じて鈎や糸など道具の仕立てが異なり、漁場や水深、操業時間帯,餌の調達などが異なるため、本当に習得することが盛りだくさんな漁法です。

ハモ延縄漁業(底延縄,夜間操業)
タチウオ延縄漁業(浮延縄,夜間操業)
サワラ延縄漁業(浮延縄,夜明け時操業)
アカムツ延縄漁業(底延縄,昼間操業)

 9月に解禁となるイセエビ刺網も漁場の選択、投網、揚網、イセエビの外し、網の修繕など学ぶとことが盛りだくさんな漁法です。日和佐漁協では先進的な資源管理の取り組みにより漁獲量、生産額が増加しています。

イセエビ刺網漁業(エビ網,建網)

海士(あま)も潜水技術に加えてアワビを探す目を養うことなど、体力・センスに加えて熟練が必要とされる漁業です。

海士漁業

 シラスを狙う船曳網も250mもある巨大な網を操り、シラスを漁獲するものです。魚探、ソナーなど高度な計器類を駆使しつつ、危険なネットローラーを操る危険を伴う漁業です。

船曳網漁業(パッチ網)

 いずれも危険を伴う漁法であり、とくしま漁業アカデミーはいつも研修生の安全第一を願っています。


 

令和4年9月の漁業アカデミー

 9月

 残暑厳しい季節柄ですが、紀伊水道の秋シラスや海部沿岸のエビ網が始まる時期となりました。このような漁模様を踏まえ、今年新たに日和佐漁協のご厚意により、進路オリエンテーションにイセエビ刺網を追加することができました。

9/9@和田島漁協船曳網研修
 9月9日(金)に和田島漁協において漁業アカデミー研修生2名が鳴滝詔稔(きみとし)副組合長のご指導による船曳網(パッチ網)の操業と加工についての現場実習、及び今治清孝組合長と上村広和参事による船曳網の経営についての座学を受講しました。写真①は6:30に一斉に出港、同②は運搬船に搭載されたシラス魚探で魚群を探索、同③は網船2隻による曳網、同④は運搬船のシラス魚探で袋網内のシラス入網量と網なりの確認、同⑤は運搬船への袋網の取り込み、同⑥はフィッシュポンプで魚槽にシラスを取り込みとシャク獲りからシラスをを取り出し、同⑦は運搬船の魚槽からフィッシュポンプでトラックの魚槽へのシラスの取り込み、同⑧は加工場で洗浄→釜茹で→ 乾燥機の自動工程の様子です。船曳網の就業予定の研修生2名は、地域により「操業方法が異なりたいへん勉強になった」と話していました。丁寧にご指導いただいた和田島漁協の皆様に心よりお礼申し上げます。

①船曳網の6:30一斉出港、写真はアカデミー研修生を乗せた金毘羅丸
②ジャッカーのシラス魚探に映るシラス魚群
③網船真船(奥)と逆船(手前)
④ジャッカー魚群探知機で袋網の網ナリをみて、入網量を調べる。
⑤袋網回収する。オレンジの救命胴衣を着たのは研修生
⑥袋網からフィッシュポンプで魚層にシラスを取り込む。

⑦ジャッカーからフィッシュポンプでトラックのタンクにシラスを取り込む。
⑧金毘羅丸の加工場を見学するアカデミー研修生

9/12~15@フォークリフト運転資格取得
 9月12~15日に漁業アカデミー6期生4人が漁港の荷捌き施設などで漁具や水産物の漁船への積み降ろしを効率的に実施できるようにフォークリフトの運転技能講習を受け、資格を得ました。写真は中央技能講習所の教官指導のもとフォークリフトによる荷物の積み下ろしの練習をしているところです。とくしま漁業アカデミーは研修生が漁業操業や6時産業化などの加工技術に必要な資格を取得することを応援しています。
①~③フォークリフトの運転練習を実施するアカデミー研修生

9/26~28@玉掛技能講習実技
 玉掛とはクレーンやデリックなどに荷を吊らせる際,ワイヤーロープまたはチェーンなどを荷に掛けたり,運搬の合図を行う作業のことです。玉掛の知識や技術を持っておくことは,漁業現場や造船所でのドック等において安全を守り、効率的に作業を進めるうえでも役立つことから,漁業アカデミーでは今年から技能講習の受講を進めています。写真は2022年9月28日に中央技能講習所指導教官のもとでアカデミー研修生がワイヤーの掛け位置の点検や安全確認を実施しているところです。
①玉掛け点検を行う研修生
②玉掛け指示を行う研修生

9/29~9/30@日和佐町漁協イセエビ刺網実習
 日和佐町漁協のご指導により9月29日(木)から9月30日(金)にイセエビ刺網の実習を実施しました。アカデミー研修生3人が9月29日(木)午後に禁漁区への①網入れ、9月30日(金)午前0時から早朝にアカデミー研修生5人が②網揚げ,③~⑤刺網からのイセエビ外し,網のごみと絡み取り、及び組合での仲買業者による選別について学びました。その後9時30分から~11時に水産研究課美波庁舎サテライト研究室で豊崎辰輝組合長からイセエビの資源管理について学びました。各研修生に丁寧にご指導いただいた日和佐町漁協の皆様に心よりお礼申し上げます。

①集団操業の網入れ
②アカデミー1期生の指導のもと網揚げを行うアカデミー6期生研修生


③~⑤イセエビの網外し