令和5年10月
今年は10月に入っても引き続き暑い日が続いており、本県沿岸の水温も例年より高めで推移しています。今月から研修生は、特定の漁業者を指導者(親方)として現場で漁業実習を行うインターンシップ期間に入りました。専攻コース3名はアカデミー入学時から決まっていた親方の下、一般コース3名はそれぞれ進路選択オリエンテーションでの実習を受けるなどして決定した親方の下、研修に取り組んでいます。なお、9月に予定していたイセエビ網漁実習は結局天候不良のため中止となり、代わりに次年度以降の研修で実施可能かの確認も兼ね、初めて一本釣り実習を実施しました。
〇各研修生のインターンシップ(10月から翌年3月まで)
専攻コース3名はそれぞれ室撫佐漁協、和田島漁協及び由岐漁協で、一般コース3名はそれぞれ北灘漁協、椿泊漁協及び伊座利漁協で実践的な研修に鋭意取り組んでいます。
アカデミー事務局では今後、各研修生の研修状況について現地へ足を運んで確認し、研修生間で共有するとともに、情報発信していく予定です。
〇北灘漁協HP
〇室撫佐漁協関係(藤本水産HP)
〇和田島漁協HP
〇椿泊漁協HP
〇伊座利漁協HP
〇由岐漁協関係
浜プラン
秋の味覚 伊勢えび漁が始まる(20231011NHK)
〇進路選択オリエンテーション7(鳴門町漁協 10/24)
場所:鳴門市鳴門町
内容:鳴門町漁協 一本釣り実習
時間:AM5:30~11:00
参加研修生:一般コース1名、専攻コース1名
10月24日(火)に鳴門町漁協所属漁業者の指導の下、一本釣り実習を行い、研修生2名が参加しました。概要は次のとおりです。
当日は朝5時半に鳴門市亀浦漁港に集合し、講師である船長から実習内容や注意点の説明を受けるとともに、研修生が安全に漁体験できるよう、手袋等の準備を入念にしていただき、日の出前の5:45頃出港しました。
多くの漁場では、潮が良く動く大潮廻りが好漁の期待が持てる潮廻りですが、鳴門海峡周辺では大潮時は潮が動きすぎるため、一般的に小潮廻りが好漁の場合が多いようです。このため、今回の一本釣り実習も小潮廻りに実施していただきました。現在の獲物は2.5kg前後のハマチ(小さめのブリ)がメインで、3kg以上のメジロやブリも混じる状況とのことでした。近年鳴門海峡周辺にはハマチやブリが多く来遊し、マダイ(鳴門鯛)のほか、ハマチもメインの対象魚になっています。時にはマグロも狙うとのことでした。
出港後すぐにポイントである鳴門海峡大橋北側に到着し、すぐさま一本釣り漁が開始となりました。当日は海峡筋を多く流れ、現時点のハマチのメイン餌になっている”ヒイラギ”に似せた疑似餌鈎仕掛けでの手釣りでした。疑似餌は餌を付ける必要がなく、手返しが良いことから、鳴門海峡周辺ではよく使われる漁法で、基本的にその時の対象魚の餌に擬似餌を合わせるそうです。漁場は小潮とはいえ潮の流れはとても早く、1回の流しで1回しかポイントに仕掛けを投入することが出来ないため、一度に数多くの獲物が鈎掛かりする場所を見極めつつ、最大回数ポイントに仕掛けを投入できるよう、山タテを行いながら何度も何度も全速力で移動しました。漁場では複数隻が近い場所で同様の漁法で操業していましたが、道具や場所など少しの違いで漁獲量に大きな差が出るそうです。途中、研修生も何度か一本釣り体験をさせていただき、講師の的確な指導により、2人とも実際に釣り上げることが出来ました。一度に複数匹鈎掛かりするととても重く、なかなか大変だったようです。
AM10時過ぎ、船の活け間も一杯になったことから終了・帰港し、水揚げ作業を行いました。ハマチは活けで漁協が荷受けし、出荷されます。当日の漁獲はハマチ約200kgで、まずますとのことでした。
水揚げ終了後、港内の船上で研修生から感想を述べるとともに、お礼の挨拶を行った後、11時頃に解散となりました。研修生からは、釣りは楽しいが、いざ商売となると相当な技術と体力に加えセンスが必要なこと、鳴門海峡での山立て、操船技術、潮の流れの読み方等あらゆる動作の難しさを実感し、大変良い経験になったとの話でした。
最後にこの場をお借りし、船長はじめ大変お世話になった鳴門町漁協の関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。
当日の漁場は鳴門海峡大橋北側で、播磨灘から紀伊水道側(北から南)へ潮が流れていました。漁場到着後、潮上に漁船を移動させ、山立てを行いながらポイントを見極め仕掛けを投入します。研修生は漁の合間に釣り方のコツや一連の流れを教えて頂きました。
次々にハマチやメジロを釣り上げる講師。釣り上げた魚は一旦クッションを敷いたプラカゴに入れ、手製の鈎外しで鈎を外して一瞬にして横の活け間に入れられます。
この日のハマチが主に捕食していた餌は全長2~6cm程度のヒイラギ(オキヒイラギと思われます)で、活け間で何匹も吐き出されていました。一本釣り実習を行う研修生。時には釣りをしてる本人より先に講師が釣れている事を気付く場面もありました。
研修当日は小潮廻りでしたが、鳴門海峡周辺の潮流は速く、まるで川の様でした。操船は細心の注意を払わないと大きな事故に繋がるため、常に安全第一での操業を心掛ける必要があります。
船の活け間で泳ぐハマチ。当日の水温(23.5℃前後)だと比較的量を入れることが出来るそうですが、酸欠には細心の注意が必要とのことです。