令和6年5月
入学式も無事終わり、過ごしやすく海の生物も活発に活動する5月となりました。研修生はこれから実地研修、座学研修や資格取得を精力的にこなしていくこととなります。
〇小型船舶操縦免許取得講座(5/8、9、15、16)
場所:小松島市和田島町 有限会社小松島マリーナ本社
徳島市中洲町 同 徳島営業所
受講研修生:一般コース2名、専攻コース2名
小型船舶操縦士免許の取得は、原則とくしま漁業アカデミーの卒業要件の一つとなっており、令和6年度第8期研修生5名のうち、4名が二級及び一級ステップアップ講座を受講しました。受講概要は次の通りです。
研修生は例年お世話になっている有限会社小松島マリーナ実施の取得講座に参加し、令和6年5月8、9日に本社で二級学科及び実技+修了審査を、24、25日に徳島営業所で一級ステップアップ学科+修了審査が行われました。
受講研修生は座学のほか、ロープワーク、船舶での操船等実技講習を熱心に受講し、全員が無事一級小型船舶操縦免許を取得することができました。
小松島マリーナ本社
二級学科講習ロープワーク講習小型船舶のエンジンに関する実地講習
操船に関する実技講習
小松島マリーナ徳島営業所
一級ステップアップ講習〇食品衛生責任者養成講習会(5/10)
場所:徳島市南末広町 中央テクノスクール「ろうきんホール」
参加研修生:一般コース3名、専攻コース2名
〇県水産研究課座学(5/21 鳴門庁舎ほか、5/22 美波庁舎)
5月21日(火)は、研修生5名全員(うち1名途中から)が参加し、鳴門庁舎においてワカメをはじめとする藻類養殖の基礎について、担当者から説明していただき、施設案内をしていただくとともに、わかめの種付け実習を行いました。また、庁舎に隣接する徳島大学の施設も表敬訪問しました。
【水研鳴門庁舎】
① ワカメ及びワカメ養殖に関する基礎知識について
水研作成の「とくしまブランド水産物もの知り図鑑[鳴門若布]」を資料にワカメの生態や養殖に関する知識を学びました。本県は今だ西日本一の生産量を誇っていますが、近年の色落ちにより、R4年度はこれまで6千トン前後で推移していた生産量が4千トン弱となり、近年生産量の減少が大きいとの話でした。今年度研修生は、ワカメ養殖業に関係する研修生が多いことから、研究サイドから期待している旨の発言もありました。
② リアルタイム水質情報配信システムの紹介
県下の設置状況、水研HPでの確認方法を詳しく説明いただいたほか、観測ブイの実機を用いて仕組み等の詳しい説明をしていただきました。
③ 庁舎見学
ワカメフリー配偶体の保管状況や庁舎全体を案内いただくとともに、観察中の赤潮等プランクトンの説明並びに研修生に顕微鏡観察(培養中の貝毒原因プランクトン)をさせていただきました。
④ ワカメ種糸作成実習
ワカメメカブから遊走子を放出させ、種糸に付着させる一連の作業を実習させていただいた。当日は比較的よくメカブから遊走子が出て、研修生もはっきり確認することが出来ました。今後、遊走子を付着させた種糸は、育成試験用に使う予定とのことです。
【徳島大学生物資源産業学部水圏教育研究センター】
水研鳴門庁舎に隣接する徳島大学の施設にお伺いし、ご厚意で庁舎見学及び屋外の施設を案内いただきました。屋内培養施設には県施設にはない多くの種類の海藻が培養されており、研修生に対し丁寧に説明いただきました。また、屋外では当基金加島事業場で育成されたアワビ及びトコブシを利用した実験も行われていました。
5月22日(水)には、研修生5名全員(うち1名は途中から)が参加し、水産研究課美波庁舎において、本県の海洋環境や当庁舎での研究内容について各担当者から説明していただいた他、庁舎を案内いただきました。なお、庁舎案内時に丁度調査から帰港してきた調査船「とくしま」を屋上から見ることが出来ました。
【水研美波庁舎】
① 庁舎の紹介
水研作成パンフを元に、特に水研美波庁舎で実施している資源や海況に関する取組全般を紹介いただきました。
② 徳島の藻場
徳島の藻場について、藻場の概要から調査方法、特に県南域での生育状況、近年全国的に発生しているの磯焼け現象、保全方法等詳しく説明いただきました。
③ 磯根資源
アワビ類等貝類、イセエビ、ウニ類及びアオリイカについて、南部圏域での紹介動画も交えて現状を説明いただきました。また、県南域の磯場に生えるテングサ等海藻類についても説明いただきました。
④ 徳島の海
本県周辺の海や海況について、特に衛星画像や調査船「とくしま」等による実地観測結果を元に詳しく説明いただきました。加えて、水研美波庁舎が漁業者限定で発信している「うずしおinfo」について、アカデミー研修生も見ることができるようアカウントを作成していただき、使い方や情報の見方等の説明を受けました。
⑤ 水産資源の利用
水産資源の特徴、全国的な資源管理の動向について説明いただきました。
⑥ 資源管理における近年の動向について
水産資源管理に関するより詳しい話と、本県主要魚種であるカタクチイワシ成魚、サワラ、ブリ及びマダイに関する資源動向及び取組みについて詳しく説明いただきました。
最後に、県水産研究課には両施設の利用許可をいただくとともに、課長・副課長はじめ研究員、水産指導員ほかの皆様にお世話になりました。また、徳島大学の関係者の皆様にはお忙しい中快く研修生を受け入れていただき、心よりお礼申し上げます。
(参考)
もの知り図鑑各種
リアルタイム水質情報配信システム
徳島大学生物資源産業学部水圏教育研究センター
鳴門わかめについての講義
顕微鏡で貝毒原因プランクトンを観察する研修生
リアルタイム水質情報配信システムについての講義
ワカメの種付け実習
美波庁舎で講義を聞く研修生
藻場に関する講義
美波庁舎屋上で災害対策施設に関する説明を聞く研修生海洋調査を終え日和佐港内に帰港する調査船「とくしま」
〇進路選択オリエンテーション1(鞆浦漁協 5/27~31)
場所:海部郡海陽町鞆浦
内容:鞆浦漁協大型定置網(大敷網)実習
参加研修生:一般コース3名
今年度の進路選択オリエンテーションは5月27日から鞆浦漁協で始まりました。第8期研修生は一般コース3名、専攻コース2名(専攻コースは卒業後の進路が固まっており、就業する漁業種類に応じた技術・資格の取得を目的とする者が対象)の計5名となっており、うち一般コース研修生3名が今回の実習に参加しました。
初日に大敷網船長ほかから大敷網の仕組みや漁の方法等について説明していただき、その後海陽町鞆浦地区を体感するとともに、2・3日目は潮が速く、網持ち出来なかったため、陸上でロープワーク研修や網の洗浄・修繕方法を丁寧に教えていただきました。4・5日目は漁船に乗り込み、網揚げ等船上作業及び陸上での漁獲物選別作業を学びました。
大型定置網は多種多様な魚種が水揚げされ、漁獲物の多様性も魅力であり、今回も日によって漁獲物が異なり、最終日には130キロもある大形のクロマグロが漁獲されるなど、研修生は船上作業から選別作業を体感し、大変さを実感した大変良い実習となりました。
この場をお借りし、鞆浦漁協関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。
※鞆浦漁協のブログもご覧ください。
模型を使って大敷網漁について説明を聞く
ロープワーク実習
大敷網の洗浄実習(ポンプ車を2台使用)大敷網(金庫網)の補修実習大敷網の網持ち実習研修最終日に漁獲された約130kgのクロマグロ
一緒に入った大きなアカウミガメは船員2人がかりで海へ戻されました。
漁獲物の選別実習
担当者から説明を受ける研修生
採卵中のクルマエビについて説明を受ける
育成中のアワビ類について説明を受ける
親魚候補のアユについて説明受ける海水継続飼育試験中の「阿波さつき」について説明を受ける
〇県有種苗生産施設見学(5/28)
場所:海部郡海陽町浅川
参加研修生:一般コース3名
鞆浦漁協研修2日目の午後は、近隣にある県有種苗生産施設(公益財団法人徳島県水産振興公害対策基金加島事業場、通称:栽培漁業センター)に研修生3名がお伺いしました。種苗生産や栽培漁業についての説明及び場内案内をしていただき、クルマエビ・アワビ類・アユ・餌料の現在の取組状況のほか、海水飼育継続中の完全養殖サツキマス(アマゴ)の「阿波さつき」や今後のスケジュール等について、雨の中、詳しく説明いただきました。漁業や水産業は獲って売るだけでなく、いろいろな取り組みが行われていることを学ぶ良い機会となりました。
この場をお借りし、場長はじめ案内・説明いただいた関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。
採卵中のクルマエビについて説明を受ける
育成中のアワビ類について説明を受ける
親魚候補のアユについて説明受ける海水継続飼育試験中の「阿波さつき」について説明を受ける
〇海洋自然博物館マリンジャム見学(5/29)
場所:海部郡海陽町宍喰浦
参加研修生:一般コース3名
鞆浦漁協研修3日目の午後は、海陽町内にある「海洋自然博物館マリンジャム」にお伺いし、5月中旬に阿南市椿泊漁協所属の延縄漁業者が釣り上げた「金色のハモ」、今年4月に「阿波さつき」と命名された完全養殖サツキマス(アマゴ)に加え、鞆浦漁協組合長が作成した、主に鞆浦漁協大敷網で漁獲された魚の「頭部骨標本コレクション」(たくさん展示されておりましたが、コレクションのうちごく一部だそうです。)を見学し、水産に関する知見を深めました。
「金色のハモ」
完全養殖サツキマス「阿波さつき」鞆浦漁協組合長作「魚類の頭部骨標本」のコレクション