漁業就業支援フェア2024夏(3会場)に参加しました!

 令和6年7

 今月は2月に引き続き「漁業就業支援フェア」の3会場に事務局が参加し、とくしま漁業アカデミーのアピールと令和7年度の研修生募集を行いました。中でも東京会場は参加人数も多く、真剣さが最も伝わってくる状況でした。


〇漁業就業支援フェア2024夏(福岡・東京・大阪会場)

 (一社)全国漁業就業者確保育成センター主催の「漁業就業支援フェア2024夏」について、実施された福岡・東京・大阪会場にとくしま漁業アカデミー運営母体の(公財)徳島県水産振興公害対策基金が徳島県とともに参加しました。

【福岡会場】
 場所:福岡市博多区 福岡ファッションビル
 日時:令和6年7月6日(土)12:30~16:00

 会場には当団体含む53団体が参加し、それぞれが工夫を凝らしたブースに仕上げ、参加者対応を行っていました。全体来場者は58名で、徳島県ブースには1名が説明を聞きに来られ、とくしま漁業アカデミーの概要や支援制度を説明しました。当フェアは基本的に漁業者になりたいと考える者のみが参加しているため、移住フェアと違い、参加者は質問等がより具体的であり、真剣に話を聞いていただきました。
 開会前の馬上事務局長による説明
 漁業就業に関する説明を聞く来場者
 徳島県水産振興基金/徳島県庁ブース
 福岡会場の風景

【東京会場】
 場所:東京都港区 東京都立産業貿易センター浜松町館2階
 日時:令和6年7月15日(月・休)12:30~16:00

 会場には当団体含む80団体が参加し、それぞれが工夫を凝らしたブースに仕上げ、参加者対応を行っていました。全体来場者は174名で、徳島県ブースには7名(組)が説明を聞きに来られ、それぞれにとくしま漁業アカデミーの概要や支援制度を説明しました。今回話を聞きに来られた来場者は皆真剣で、数名に8月から募集開始となる令和7年度研修生の応募パンフレットを送付することとなり、実際に応募していただくことを期待し後日事務局から送付しました。
 徳島県水産振興基金/徳島県庁ブース
 来場者への説明の様子
 東京会場の風景


【大阪会場】
 場所:大阪市中央区 OMMビル2階
 日時:令和6年7月27日(土)12:30~16:00

 会場には当団体含む72団体が参加し、それぞれが工夫を凝らしたブースに仕上げ、参加者対応を行っていました。全体来場者は89名で、徳島県ブースには3名(組)が説明を聞きに来られ、それぞれにとくしま漁業アカデミーの概要や支援制度を説明し、応募に繋がることを期待し、2名には名刺を手渡し何時でも詳しい話をする旨伝えました。
 徳島県水産振興基金/徳島県庁ブース
 来場者への説明の様子
 大阪会場の風景


令和6年7月の漁業アカデミー

  令和6年7

 7月となりクーラーの欠かせない暑い季節となりました。例年より早めの台風の発生も見られ、19日には四国地方の梅雨も明け本格的な夏が訪れましたが、研修生は引き続き実地研修等を精力的にこなしていきます。なお、事務局は令和7年度の研修生確保に向け、(一社)全国漁業就業者確保育成センターが主催する『漁業就業支援フェア2024夏』の全国3会場に出展・参加しました。


〇進路選択オリエンテーション4(北灘漁協 7/2~5)

 場所:鳴門市北灘町
 内容:北灘漁協 小型定置網、魚類養殖、小型機船底びき網実習
 参加研修生:一般コース2名、専攻コース2名(うち1名は4日目のみ参加)

 7月2日(火)から6日(金)までの4日間、研修生4名が参加し、北灘漁協所属漁業者の指導のもと、初日にオリエンテーションを実施しました。

 7/2(火) 研修1日目
 オリエンテーションでは、北灘漁協の概要のほか今回の現地実習全般の注意点等について説明があり、その他事務局から漁業権連絡図を用い、今年度は北灘漁協に関係する研修生がいることから特に共同・区画漁業権の詳しい説明を行いました。
 2日目以降は例年通り、小型定置網(底定置網)、魚類養殖及び小型機船底びき網実習を行うこととなり、研修生が3班に分かれ、日替わりで3つの違った漁業種類の実習を行いました。なお、事務局もそれぞれ乗船することとし、最終日のみ参加する研修生は定員に余裕のある小型定置網に乗船することとなりました。
 初日のオリエンテーション風景。漁協事務所2階にて組合長及び参事から現地実習の注意点や北灘地区の漁業などについて説明を受けました。

 7/3(水) 研修2日目  魚類養殖班 研修生2名(事務局同乗) 5:00~8:30  小型定置網班 研修生1名  5:30~10:30  小型底びき網班 研修生1名 3:00~4:30(霧で出漁中止、魚類養殖班に同乗)  小型底びき網班は濃霧のため、一旦出漁したものの、すぐに引き返し、様子を見るも霧が収まらないため、この日の漁は急遽中止となり、魚類養殖班に同乗することとなりました。  魚類養殖班は、大浦漁港に5:00集合し、引き続き濃霧でしたが、魚類養殖は行く場所が決まっており、小割横に停泊して給餌するため、問題なく出港することとなりました。その後、餌(冷凍マイワシ)の積込作業等を見学した後、研修生は作業船に乗船し5:30に出港しました。この日は2小割分、約3トンの冷凍マイワシを積み込みました。1つめの小割に到着し、すぐさま給餌の準備を行い、給餌が開始されました。1つ目の小割には2年魚カンパチ(1.8kg/尾サイズ)が約1万尾入っているとのことでした。給餌は7:00に終了し次の小割に移動しました。2つめの小割はブリ3年魚(4.8kg/尾)が5,000尾入っており、大きく育てる分との話がありました。この日は潮が悪く、餌食いはよくないとのことでした。隻の計3隻が給餌作業を行っていた。給餌は8:15まで行い、早めに切り上げ8:30に帰港しました。今回お世話になった会社では、ハマチ、カンパチの他、マダイ、シマアジ、マサバも養殖しており、カキも試験養殖しているとのことでした。魚類養殖は規模も大きく、今回初めて経験する内容で、研修生にとって大変良い経験になりました。  この日の魚類養殖の作業工程は次のとおりでした。 ○ 餌等を積込み出港 → 小割到着 → 給餌 → 次の小割に移動 → 作業終了後、帰港  なお、小型定置網班も無事研修を終えることが出来ました。
 濃霧で出戻りの小型機船底びき網漁船
 餌の冷凍マイワシを作業船に積み込む
 1つ目の小割に到着
 餌の冷凍マイワシ
 1つ目の小割の2年魚カンパチに給餌しているところ
 2つ目の小割で給餌の準備を手伝う研修生
 2つ目小割から沖側を見た様子です。普段は小豆島など近隣の島もよく見えるのですが、この日は濃霧で近くで給餌中の同僚船ですらほとんど見えない状態でした。
 同日午前8時頃の鳴門海峡大橋周辺の様子です。鳴門海峡もかなりの濃霧だったようです(家業の一本釣り研修中の研修生撮影)。

 7/4(木) 研修3日目  魚類養殖班 研修生1名 5:30~8:30  小型定置網+養殖班 研修生1名(事務局同乗) 5:00~8:00  小型底びき網班 研修生1名 3:30~8:30  北灘の定置網は椿泊同様底定置が行われており、短期間で違う漁場での同一漁法での実習となり、ルールの違いや設置場所が異なることなどを体感し、研修生にとっては良い経験となりました。  北灘では各漁業者によって漁場が固定されていること、沖に向かって漁場が広いため、1統につぼ網が左右複数か所設置されていることなどが椿泊地区と異なっていました。今回お世話になった会社は、小型定置網のほか、昨日お世話になった会社同様魚類養殖も0兼業で行っており、朝一で定置網の操業を行ったあと、船を乗り換えて同メンバーが魚類養殖の給餌作業等も行う操業形態となっていました。この日は前日と違い霧もなくべた凪で、問題なく出漁となりました。定置網作業船は2隻体制で、各4人が乗り組み漁を行いました。当日は5:00に出港、5分程度で漁場に到着し、すぐさまつぼ網の網揚げを行い、漁獲物を船の活け間へと引き揚げました。漁獲物は少なかったようですが、厄介者のクラゲも少なかったのは幸いだったようです。計3箇所のつぼ網を揚げ5:45に帰港し、漁獲物を荷揚げ・計量しました。この日はマダイをはじめスズキ、コアジ、セトダイ、カワハギ、ハモ等小形魚主体でした。早めに作業が終了したため、引き続き養殖作業船にも乗船させていただく事となりました。乗船した養殖作業船は計2箇所のハマチ養殖小割で給餌作業を実施しました。前日の会社と違い、ハマチ(ブリ)養殖のみ実施しているとのことで、業者毎に考え方や取組スタンスが大きく異なるとのことでした。  この日の作業工程は次のとおりでした。 ○ 出港 → 漁場到着 → つぼ網の網揚げ → 網から漁獲物の掬いとり、選別 → つぼ網戻し → 次の網へ向かう → 同様の作業の繰り返し → 漁獲終了、帰港 → 漁獲物荷揚げ・計量・出荷 → 漁船を養殖用に乗り換え、養殖小割に向かう → 小割到着・給餌 → 帰港  なお、この日は別の魚類養殖班・底びき網班とも予定通り出漁・研修することができました。
 定置網出漁の様子です。日の出がとても綺麗でした。
 漁場に到着しましたが、底定置なので船上から設置状況は分かりません。
 つぼ網の網揚げ作業の様子です。
 研修生は船上で漁獲物の選別作業を実習しました。
 道網の反対側ではもう1隻が網揚げ作業をしていました。
 2隻が同時に帰港し、船上で選別作業が行われました。
 荷受け作業の様子です。
 定置網漁終了の時間が早かったため、小型定置網班はそのまま養殖魚への給餌作業にも同行させていただきました。この日は昨日と違い快晴でした。

 7/5(金) 研修4日目  小型定置網班 研修生2名 6:00~10:00 小型底びき網班 ①研修生1名、②研修生1名(事務局同乗)3:00~8:00  この日は2日目に濃霧で出漁できなかった小型底びき網に事務局含め3名が乗船することとなり、2隻に分かれて同乗することとなりました。また、小型定置網班は研修生2名が乗船することとなりました。 小型底びき網は、この時期の網入れ開始時間が4:00と決まっており、出港後10分程度の沖で網入れ準備を行い、4:00に網入れが行われました。付近でもう1隻の研修生が乗り組む漁船も操業開始しました。播磨灘は規則により漁船サイズ、エンジン及び開口板の規模が決められており、紀伊水道に比べ全体的に小型っとなっています。曳網速度はつれ潮(漁船進行方向の潮)・逆潮(進行方向と反対側からの潮)で異なりますが、エンジン音を確認し、およそ2.5knot程度での曳網のようです。まず西向きに曳網し、香川県境付近まで操業し、5:15頃に1回目の網揚げを行い、その後網を軽く掃除しすぐさま再投入し、折り返し東向きに2回目の網入れが行われました。折り返しの2回目曳網時に1回目の漁獲物を選別し、研修生も実習させていただきました。獲物はコエビ(アカエビ・トラエビ)、サルエビ、ヒイカ主体で、大形のクルマエビ類が数匹と、小形のシロアマダイも1尾入網していました。この日はクラゲは少々いましたが、昨年とくらべると全然ましとのことでした。2回目の網揚げは6:40頃に実施し、7:10頃揚げ終わり、一旦網を沖出しし水圧でゴミを落としつつ帰港準備を行い、網を巻き上げ後、帰港しました。コエビの他、タイが比較的よく入網していました。帰港後、8時頃に出荷作業が終了となりました。  底びき網漁は今回の研修で初めて経験する漁となり、研修生にとって良い経験になりました(9月に紀伊水道の和田島漁協でも研修予定です)。  当日の操業工程及び特記事項は次のとおりでした。
○風・波等を確認し出港判断 → 氷等漁船へ積み込み → 出港 → 漁場到着 → 網入れ(1回目)→ 曳網(約1.2時間) → 網揚げ → 網入れ(2回目)→ 曳網(約1.2時間)及び漁獲物選別 → 網揚げ → 帰港 → 漁獲物選別 →陸揚げ → 出荷
 乗船させていただいた小型機船底びき網漁船
 網入れの様子
 曳網中の船上からの日の出頃の風景。この日も快晴べた凪でした。
 1回目は西向きに操業し、香川県がすぐ近くに見える辺りまで曳網しました。
 1回目の網揚げの様子です。
 旬のハモも漁獲されました。
 2回目の網入れ後、船上で選別を行います。研修生も選別実習させていただきました。
  漁獲されたコエビなど
 2回目網揚げ後、帰港したところです。
 帰港後の選別作業は関係者も参加して行われます。
 選別された小エビ
 サルエビ(コブト)
 マダイ
 底びき網班終了後、この日研修生2名がお世話になった小型定置網班も帰港し、水揚げが行われました。

 全ての実習終了後、最後に漁協さかな市休憩所にて組合長に研修報告を行ないました。研修生からは同じ漁場で3業種経験出来てとてもためになった旨の発言がありました。また、事務局からは、今年度研修生5名のうち2名が北灘漁協でお世話になるため、改めて受入れのお願いを行いました。今回お世話になった漁協関係者からは長期研修や就業に関していつでも相談に乗ってほしい旨話もあり、組合長、漁協関係者をはじめこの場をお借りして皆様に心よりお礼申し上げます。


〇令和6年度第1回とくしま漁業アカデミー運営会議

 日 時:令和6年7月23日(火)
 場 所:徳島市東沖州 水産会館3階
 内 容:R5年度運営報告、R6年度運営状況報告、R7年度研修生募集について
 参加者:運営委員6名ほか計9名

  R6年度第1回とくしま漁業アカデミー運営会議を7月23日(火)に開催しました。委員全員が出席し(代理含む)、基金事務局長が司会進行しました。
 会では「令和5年度とくしま漁業アカデミー運営報告」、「令和6年度第8期生運営状況報告」、「令和7年度研修生募集にかかるパンフ・ポスターの件」、「各種媒体を活用した広報の件」などを説明・報告しました。  委員からは、「①卒業生の交流」及び「②10月からのインターンシップに係る親方とのマッチング」について質問があり、事務局から「①研修時に卒業生と研修生の意見交換を実施しているが、卒業生同士の交流は今後の課題で検討したい。」、「②出来る限り事務局がコミュニケ―ションを取るように心がけ、相談しやすい体制づくりに努めスムーズなマッチングに繋げている。」旨回答しました。

 運営会議の様子

 徳島新聞折込「startt」徳島のお仕事図鑑(R6.6.27付) 掲載広告

 「あわわ」 阿波おどり特集2024(R6.7発行) 掲載広告



〇進路選択オリエンテーション5(阿部漁協 7/16~17、30~31)

 場所:海部郡美波町阿部
 内容:阿部漁協 海士(素潜り)漁実習
 参加研修生:一般コース3名(うち1名は16-17日のみ参加)、専攻コース1名

  阿部漁協では特に広く漁師を募集している状況ではありませんが、毎年素潜りによるアワビ漁の研修を実施していただいており、今年度も快く研修生を受け入れていただきました。また、コロナ禍以降休止していた集落運営の元漁業者宅を改築した「海女の家」を運用再開することから、復活第1号として是非利用していただきたいとの話になり、利用させていただくこととなりました。なお、漁業法の規定により、特定水産動植物に指定されたアワビ類を採捕する場合、県知事許可が必要となるため、研修にあたっては阿部漁協から採捕の同意を得るとともに「特定水産動植物採捕許可事務処理要領」に基づく許可のもと実施しました。  当初、令和6年7月16日(火)から18日(木)までの3日間の研修を予定していましたが、漁協や天候の都合もあり、7月16~17日にオリエンテーションを行い、30日、31日に素潜り実習を行いました。  ○令和6年7月16日(火)~17日(水)(1~2日目)   アワビ類見学、オリエンテーション等    講師等 組合長、参事、職員、アカデミー事務局  当初、初日に漁が実施された場合は昼頃に漁協荷捌き所に集合し、当日の水揚げ見学を実施する予定でしたが、波が高く当日早朝の判断で休漁となったため、14時集合で実施しました。荷捌き所では漁協職員から出荷前のアワビ類・トコブシを見せていただくとともに、アワビ類について説明いただきました。磯根資源の豊富な阿部漁協でも過去と比べ漁獲量は相当減少しているそうです。また、国水産多面的事業による専門家の潜水調査では、他地域に比べるとまだましですが、藻場の減少がかなり見られるようになってきているとのことでした。荷捌き所での説明等を受けた後、今回宿泊でお世話になる「海女の家」に移動し、事務局が講師となり、資料に基づき阿部地区の概要、阿部漁協でのアワビ類資源管理の取組みや漁業権について説明を行いました。その後、「海女の家」で一泊させていただき、漁村での暮らしを体験しました。
 出荷用にカゴに入ったアワビを見ながら説明を受ける研修生
 漁港の風景
 お世話になった「海女の家」と研修生
 「海女の家」内部の様子。昭和の民家を現代版に改築した感じでした。


 ○令和6年7月30日(火)~31日(水)(3~4日目)
  7/30(水)    ① 栽培センターでアワビ稚貝受け取り 10:30~11:00    ② アワビ類等水揚げ実習 12:20頃~13:30頃     ③ 素潜り実習(禁漁区でのアワビ稚貝放流) 13:45~15:00  この日の午前中は県栽培漁業センターにお伺いし、研修で放流に使用するアワビ稚貝について、受け取り用として研修生にアワビ稚貝の出荷作業を経験してもらいました。種苗生産されたアワビ稚貝は阿部漁協から購入した親貝を用いて生産されており、ちょうど今年初冬に採卵予定の親貝を明日阿部漁協に買いに行く予定とのことでした。研修生はアワビ稚貝(今回はメガイアワビ)をタマネギ袋に放流しやすいよう小分けにしたり、保冷剤を入れた発泡箱に丁寧に箱詰めするなどの作業を行いました。研修生は、出荷前のアワビ稚貝がどのように扱われているか、また、どのように梱包・出荷され、活アワビの輸送にも応用されているか等を学び、大変勉強になったとのとことでした。  梱包修了後、すぐさま車に積み込み阿部漁協に移動し、アワビ稚貝を水槽に移して午後からの放流に備え、研修生は12時過ぎからアワビ類の水揚げを見学するとともに、漁協職員や漁業者の指導の下、漁獲物運搬や計量補助等の研修を行いました。  午後からのアワビ種苗放流による素潜り研修では、例年お世話になっている漁業者に講師をお願いし、船外機を出してもらうこととなりました。荷受けが一段落した14時前に、研修生がアワビ種苗を積んだ2隻に分乗し、漁港を出てすぐ右側(西側)の岬東側に設定された禁漁区に向かいました。現場到着後、研修生は講師指導の下、放流適地、放流方法等を学び、放流作業を実践しました。その他講師から現場にいる大きなアワビやイセエビの居場所を教えていただくなどし、1時間半程度で放流作業及び素潜り実習を修了しました。各研修生は素潜りは初めての経験で、帰港後「思ったより息が続かなかった。」「想像以上に潜れなかった。」「慣れないと水中でアワビを見つけるのはかなり難しい。」などの意見が出ましたが、実際の目で海中のアワビ漁場を見ることが出来たこともあり、とても良い経験になったとのことでした。研修終了後は「海女の家」で再度宿泊させていただきました。
 アワビ稚貝をタマネギ袋に詰める研修生
 詰め方を教わり、運搬用の発泡箱にアワビ稚貝を入れる研修生
 漁協に移動し、この日の水揚げを見学し、色々教えてもらう。
 計量の仕方や仕訳け方を学ぶ研修生
 水揚げ作業終了後、アワビ稚貝の放流実習に向かいました。
 アワビ稚貝の放流現場(禁漁区になっています)。当日は晴天べた凪で絶好の放流日和でした。
 講師に実演してもらい、放流作業を学びました。
 研修生は皆初めての素潜り体験で、なかなか息が続かず悪戦苦闘していました。
 研修生は最終的にはある程度潜れるようになりました。

 7/31(木)(最終日)   ① 素潜り漁実習    10:00~11:30   ② 水揚げ・出荷実習  12:00~14:00   ③ 研修終了の挨拶・片付け 14:00~14:30  研修最終日、この日のアワビ漁は10~13時で実施されることとなり、研修生は漁開始から12時頃まで港を出てすぐ西側の、船を使わず陸地から直接海へ行くことが出来る磯場で漁体験をさせていただきました。この日も天気が良くべた凪で、周辺全体での素潜り体験が可能でした。  阿部漁協では県規則より厳しい漁獲物サイズ規制を実施しており、クロアワビ10cm未満(9→10cm)、メガイアワビ11cm未満(9→11cm)、トコブシ4cm未満(3→4cm)を漁獲禁止としています。漁業者は組合特製の寸(すん)で漁獲サイズを計測します。操業ではシュノーケルが禁止されているため、漁業者は樽(タル)に採捕道具のノミ(は具)、漁獲物を入れる網ネットや寸を釣り下げ、水面で休憩用に使用します(研修生も貸していただきました)。  漁業者は水中眼鏡のくもり止めとして、単に”葉っぱ”と呼んでる「カラムシ」を使っていました。カラムシはそこらへんに生えてる草の葉で、どんな葉でもくもり止めとして効果があるが、カラムシの葉は臭いがあまりなく、どこにでも生えていて手に入れやすいため、皆使っているだけとのことでした。なお、市販のくもり止めは植物の葉っぱより効果が薄く、誰も使っていないとのこと。研修生も習ってカラムシの葉っぱを使い、揉んでからガラス面に塗り付け、くもり止めとして使用しました。カラムシは大昔の帰化植物とのことで、麻と同じような性質があり、昔は加工品を漁網やロープにも使用したとの記述もあるので、漁村地域にはたくさん生えているのかもしれません。  研修生は約1時間半ほど素潜り実習を実施しましたが、漁獲できたのはトコブシ・サザエ少々でアワビは0でした。研修生は「思っていた数分の一しか息が持たない(長くて10秒程度)。」「目が慣れないため全然獲物を見つけることが出来なかった。」「体力の消耗が激しく長時間の操業は困難」とのことで、素潜り漁は相当経験とセンスが必要な漁だと実感した。その後、研修生が採捕した漁獲物は水揚げ体験を行った後、水揚げの手伝いを行うとともに、栽培漁業センター関係者によるアワビ種苗生産用親貝の選別作業を手伝いました。  素潜り実習は短い期間でしたが、研修生は実際の素潜り漁を初めて体験出来てその難しさを体感できたこと、栽培漁業センターと漁協との関係を実感できたこと、先月実施した隣集落の伊座利漁協大敷網実習でお世話になった漁業者が数名おられ、研修生とも既知の関係だったこともあり、有意義な実習になりました。

 最後に、漁協組合長はじめ組合員、職員の方々には大変お世話になり、心よりお礼申し上げます。

 漁協事務所脇にも「カラムシ」がたくさん生えており、漁業者の多くはこの葉っぱを水中眼鏡のくもり止めに使用していました。
 素潜り漁実習現場で準備をする研修生
 素潜り漁実習を行う研修生
 サザエとトコブシを捕獲した研修生
 水揚げ体験をさせていただきました。
 アワビ水揚げ風景
 栽培漁業センターで種苗生産用に使用する親アワビ(クロ・メガイ)の選別風景
 研修生も選別され梱包された親アワビの運搬を手伝いました。